真夜中に電話しながら、この人と付き合うことはないんだろうなと、ふと思う。
私はこの人に心のうちを見せることはできないし、
グロテスクな部分を語る勇気はないし、
美しいところだけを見せびらかして、
きれいでしょって頷きあうことしかしないんだろうな。
だいたい、あっちがほんとに心のうちを見せてくれているとは思わない。
見せているという嘘を見せているのだろう。
私は性善説を信じているけれど、人を信用するのとはまた別の話なのだ。
この人と付き合うことはない。
ずっと友達でいよう。
仲のいい友達でいよう。そうしよう。
そのほうが美しい。美しい思い出になる。